STORY
舞台はトロイア戦争後のクレタ島。クレタ王イドメネオの息子イダマンテは、戦争で負けて囚われの身となっているトロイア王女イリアを密かに愛しています。クレタに逃れているアルゴスの王女エレットラもイダマンテを思っています。一方、イドメネオはクレタに戻る途中嵐にあって遭難してしまいますが、海神ネプチューンと「陸に上がって最初に出会った人物を生け贄に捧げる」という契約を交わして救われます。そんなイドメネオが上陸して初めて会ったのは、なんと息子のイダマンテでした。
イドメネオは忠臣アルバーチェの提案により、息子をエレットラとともにアルゴスへ逃がそうとしますが、イリアがイダマンテを愛していることを知り悩みは深まるばかり。エレットラは喜び、イダマンテはイリアへの思いに心乱れます。イダマンテとエレットラが出航しようとした時、突然海がざわめき怪物が人々を襲います。イドメネオは、契約を守らないのでネプチューンが怒ったことを知ります。
死を覚悟して怪物を退治することを決意したイダマンテはイリアと愛を確かめ合います。司祭長が登場しイドメネオに生け贄を捧げるようにうながすと、イドメネオはついに生け贄が息子であることを告白。生け贄になることを決意したイダマンテをイドメネオが刺し殺そうとしたその時、イリアは自分を身代わりにと申し出ます。イリアの献身的な愛に、海神ネプチューンは「イドメネオは王位を退き、イダマンテが王となりイリアが妻となる」という神託を下し、一同喜びのうちに幕となります。(室田尚子)